石彫(白大理石) 60×23×56cm sculpture (white marble) |
石彫(白大理石) 62×24×64cm sculpture(white marble) |
ごあいさつ 1997年2月に、ここ茶屋町画廊で発表の機会を持つことが出来て以来、まる2年が過ぎました。その時、メキシコから展覧会や講演について3通の招待状が来ていて、そのことにどう対応するかという決断にせまられている時期でした。メキシコ人の友人の働きかけで、立体芸術協会、国立ギャラリー、べラクルーズ大学の3箇所から、発表の場を持たないかという招待を受けていたからです。 メキシコという国は、大国アメリカのすぐお隣にあり、美術文化の輸出国です。メキシコに在住していても申込んでから2年から数年待たされる国立ギャラリーで、行ったその日から活動することが出来ました。100人ものプロフェッショナルを観客にして、それもスペイン語で1時間20分の講演は、とてもエキサイティングなものでした。テレビのライブニュースに出演したり、特別放送を組んで放映されたり、新聞の一面記事で紹介されたりしました。日本での美術をあつかう方法とは随分違っていました。この国の中心へどんと飛び込んでいった私は、まだまだエネルギーがあるんだなと思いました。 ギャラリーに展示した彫刻と油絵は、その後メキシコの各都市で展示され、近代美術館にコレクションされることとなりました。その手続きのため一年後の昨夏、再度メキシコにわたり、全ての作品の行く先を決定してきました。この経験は、メキシコのみならず各国に通じるシステムを知る機会になりました。 今こうして立っていると自分の作品が少し変化したように、私も少し成長したのかなと思います。それはこの2年間の動きが私に大きな自信を与えてくれたからでしょう。 今日はこの一年間で作った作品を陳列してみました。特に油絵は、白の輝きに魅せられて塗り続けたものです。筆で絵の具を塗ることも、のみで石を彫ることも同じだと思える筋がある作業だと感じました。 物を作っていく中で、今一番感じ、思索し続けていることは、人に賞賛されたいという事だけでなく、どう作品を残していくか、あるいはどう始末していくかということです。そして後30年,どんな夢を描き続けることができるかということです。スタンスを長く、100年後の人々にも愛される作品を作りたいなと思っています。 1999年2月1日 |
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鹿間厚次郎 |